こんにちは、ベッドから謎の種が出てきて「!?」ってなってます、うかです!
いきなりですが、みなさん詩は好きですか?
「都人」という言葉がありますが、この言葉には二つの意味があります。
一つ目は「都に住む人」という意味。日本の都はずっと京都にあったので、京都に住む人を指す意味合いが強いように思います。
二つ目は「詩文などのたしなみがある人」という意味です。
京都に住む人は天皇や貴族またはその方々にお仕えする人だったので、教養があり詩文に精通していたということなのでしょうね。
この都人が残した中でも私のお気に入りの詩は「魚歌子(ぎょかし)」です。詠人は嵯峨天皇。嵯峨天皇は聡明で読書が好きな方だったと言い伝えられています。そのため、漢詩や書の造形が深かったのだとか。
嵯峨天皇は、賀茂神社で自ら宴を催しこの詩を読んでいます。
漁歌子
【白文】
寒江春暁片雲晴
両岸飛花夜更明
鱸魚膾
蓴菜羹
餐罷酣歌帯月行
【読み下し文】
寒江春暁 片雲晴れ
両岸 花飛んで 夜更に明らかなり
鱸魚の膾
蓴菜の羹
餐べ罷わり酣歌して月を帯びて行かん
【和訳】※うかの解釈なので正しい保障はありません。
冬の川の透明なせせらぎの中に春の訪れを感じるようになった。
ちぎれ雲が浮かぶ空は青く晴れ渡っている。
川の両岸にはぽつぽつと可憐な花が咲いて、次第に夜が更けてきた。
刺身や吸い物が並ぶ食卓をみんなで楽しく囲みましょう。
食べ終わったら歌いながら月明かりの下を帰りましょう。
いかがでしょう?
宴の始まりにふさわしい楽しげな詩だと思いませんか。
「鱸魚の膾 蓴菜の羹」という一文は「蓴羹鱸膾(じゅんこうろかい)」という古事成語を元に作られています。晋の時代の役人だった張翰(ちょうかん)が、戦火が近づいてきたのを知って故郷の蓴菜(水草の一種)が入った吸い物と鱸(スズキ)の刺身を恋しく思い、洛陽での官職を辞して帰郷してしまったことに由来します。
嵯峨天皇が囲んだ食卓にも素朴で美味しい食べ物が並んでいたのでしょうね。
また、実はこの詩自体が中国の張志和(ちょうしわ)という人が詠んだ「魚歌子」のオマージュなんです。
せっかくなので、こちらもご紹介しておきましょう。
漁歌子
【白文】
西塞山前白鷺飛
桃花流水鱖魚肥
青菩笠
緑蓑衣
斜風細雨不須帰
【書き下し文】
西塞山前 白鷺飛び
桃花流水 鱖魚肥ゆ
青き菩笠
緑の蓑衣
斜風 細雨 帰るを須いず
【和約】
青い山を背景に、白い鷺が自在に飛ぶ。緑の流水に桃の花が映り、いつしか鱖魚(ぎょこ)の肥える季節になった。青い笠を被り緑色の蓑衣を着、颯爽と糸を垂らす。そよ風に小雨が乱れ舞い、天地万物が融け合う。釣り人は全てを忘れもう家に帰ろうとさえ思わない。
自然の豊かさとその中に佇む人が美しく調和した詩ですよね。
ジブリ感があって好きです。(語彙力の欠如)
さて、今日は京都で詠まれた詩をご紹介しましたが、いかがでしたか?
この記事を読んで「詩に興味を持った!」というそこのあなたに読んでいただきたい小雑誌があるのです。
その名は「アンパサンド」。
「詩的なるものへ」というテーマで様々な著述家や芸術家の方が書いた作品がひとつの封筒に詰まった雑誌です。全部6巻で完結予定なのですが、現段階では3巻まで出ています。
見た目はこんな感じです。

袋を開けると….

「アンパサンド」をもっと詳しく知りたい方はこちら
https://www.tokosha-publishing.com/ampersands/
そして、実は「アンパサンド」に参加するアーティスト達による展覧会が今京都で行われています。
場所はこちら↓
・本の栞(11月12日~11月28日 ※こちらのみ兵庫のお店です
・恵文社一乗寺店 (10月5日~11月15日)
・開風社待賢ブックセンター (10月8日~11月30日)
「アンパサンド」の展覧会の紹介ページはこちら
https://www.tokosha-publishing.com/event/
ぜひ、アンパサンド展に行って、読んで、「詩的なるもの」に触れてみてください。
それでは、また来月のブログでお会いしましょう!
みなさんお元気で!